2024年5月25日土曜日

読書 ぼくはあと何回、満月を見るだろう

 2009年の『音楽は自由にする』の続編で聞き書きの形でまとめられた坂本龍一最晩年の言葉。

夜中ふと目が覚め、眠れなくなったのでスマホに入れてある音源から教授がDJを務めていた「サウンドストリート 電気的音楽講座」を、子守唄にするつもりが最後まで聞いてしまった。

時は1981年、番組のテーマ曲「フォトムジーク」をスタッフ数人とスタジオに篭って録音する過程を追った回で、教授が解説を加えていくというもの。教授って基本的に親切なヒトだったよな、少なくともメディアの前では。今ならスタジオに入らなくてもパソコンでもできるような作業なのだが、当時は最先端のレコーディングをユーモアを交えて教えてくれていた。曲は今でも全く古くなっていない、大好きな一曲だ。

この録音を聞いた直後なので、この本の語り口が若いころの教授と重なってしまうのだが、四十数年後の教授もきっと親切な語り口だったのではないだろうか。

しかし、最晩年の教授はアートや現代音楽に回帰してしまい、少々ワタシには理解しがたい領域の活動が多かった。いつまでもアホアホマンをやってくれと言うのではなく、メディアバーンライブとかあの時期の音楽が今でも好きだ。でも、もっと聞き手が成熟して老成してくるといつかは分かるようになるのだろうか。教授、ホントにホントにありがとうございました。


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