胡桃沢さんは「翔んでる警視」のイメージがあるのだけど、この作品は最近のナンパな直木賞は吹っ飛ぶくらいの硬派な内容が割に淡々と綴られているのだが、国家の覇権争いやイデオロギーが、人々の運命を翻弄していく様が描かれていて興味深い。
内容はモンゴルでの抑留生活。極寒で、食べるものがなく、労働は苛烈で、人がバンバン死んで、暴力がはびこって、権力闘争があって、それでも黒パンで命をつなぐという壮絶なもので、これたかだか80年前なんだよなあ。帰国直前に行われたという思想教育の場面は必死さ故にちょっと笑ってしまう。
帰国の途に乗ったというシベリア鉄道の車窓風景も描かれているのだが、今も列車は運行されていてモスクワまで1週間かかる旅は鉄道ファンに人気なんだそう。ちょっと乗ってみたいな。
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